はじめに
「天ハ人ノ上ニ人ヲ造ラズ人ノ下ニ人ヲ造ラズト云ヘリ・・・」は、福沢諭吉らが著した「学問ノスヽメ」の有名な書き出しです。個人の平等および自由・独立の原理が説かれ、日用に役に立たないこれまでの学問ではなく、「実学」(洋学)の重要性が強調されていました。そのため、江戸時代から明治への移行にあたって大きな役割を演じた著作と評価されています。
本書の標題に「ノスヽメ」※の文字を入れさせていただいたのも、「生産管理」が誰にでも扱える「役に立つ透明な技術」として、生産現場に広がっていって欲しいという願いを込めているからです。
※ 「ノスヽメ」はいかにも古めかしく、「のすすめ」、「の勧め」、「ノススメ」、「ノスゝメ」も考慮しましたが、原版に使われている筆運びに合わせました 最初は、「ノスゝメ」を使っていましたが、「ゝ」が平仮名用の繰り返し文字と気づいたのが最近で、改めて原版を見直してみて「ヽ」であったのに気づいて赤面の至りであります
かつては、設計に定規とコンパス、経理に算盤、生産管理に大福帳と言われましたが、今は、コンピュータ利用技術(特にパーソナル・コンピュータ、以下ITと呼びます)が身近な道具となり、これらの分野での適用が多くなりました。しかし、生産管理の分野は、業務の形態が煩雑であり、時々刻々姿を変える生き物であるために、大福帳の役割をコンピュータが担うとはいえ、高度な管理技能と複雑な仕組みのコンピュータを動かす仕組み(以下ソフトウェアと呼びます)が要求され、他の分野に比べて、ITの普及が遅れているのが現実です。大規模な製造企業では、生産管理システムの導入が進んでいますが、中規模以下の製造企業では、導入に踏み切れない事例を多く拝見いたします。
この理由としては、次の問題点を挙げることができます。
1)導入のためのコストが高い
2)導入までの期間が長い
3)作業者の作業量が増大する
<<< 中略 >>>
本書では、これらの問題点を解決あるいは低減することに目標を置き、運用実績のある生産管理システムによる「体験」を通して、生産管理システム導入時の「ポイント」が理解できるように配慮しました。生産管理システムには、本書に付属の「MaCS」※(Manufacturing Control System)試用版を使用します。
※ MaCS′(MaCS')が正式な名称です Manufacturing Control Systemを単純に短縮しますと、あの有名なコンピュータの製品名に似てしまいますので、アポストロフィ「′」を付けて区別しました また、段階に応じたシリーズがありますので、「eBook」、「eBook」、「sp」、「sp」、「op」、「op」、「cs」、「cs」などの全角文字や半角文字を付加するようにしました
<<< 後略 >>>
目 次(概略)
第T部 準備編
・第1章 IT化ノスヽメ
生産管理システムの導入に先立ち、IT化に関する予備知識を紹介いたします。
・第2章 MaCSノスヽメ
生産管理システム「MaCS」を例にとって操作方法の概要を紹介いたします。
・第3章 マスターの登録
運用の準備にあたって、会社の組織・構造、品目、取引先、工程などの登録
手順を紹介いたします。
第U部 運用編
・第4章 生産管理ノスヽメ
生産管理の業務の概要を紹介いたします。
・第5章 販売系業務
受注から売掛に至る流れを通して、販売系業務の事例を紹介します。
・ 第6章 購買系業務
発注から買掛に至る流れを通して、購買系業務の事例を紹介します。
・ 第7章 生産系業務
計画から入庫に至る流れを通して、生産系業務の事例を紹介します。
・第8章 管理業務
生産管理の管理業務の概要を
在庫管理
棚卸管理
実績管理
原価管理
に分けて紹介いたします。
・第9章 保守業務
生産管理システムにおける保守業務について紹介いたします。
・ おわりに
MaCS生産管理システムのステップアップについて紹介いたします。